三平方の定理の応用をわかりやすく解説|入試によく出る応用問題と解き方のコツ


三平方の定理の応用として公式をどのように当てはめればよいのか迷う人も多いかもしれません。三平方の定理の応用問題では、立体や円をからめた少し難しい問題に出くわすこともありますよね。中学数学の三平方の定理の応用問題は、面積や高さを求めるだけでなく、図形の関係を理解して使いこなす力も問われるのが特徴です。今回は、三平方の定理の応用の解説として、三平方の定理の応用的な使い方をわかりやすくご紹介します。


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◎三平方の定理の応用問題において重要な、立体の考え方と公式のおさらい


三平方の定理の応用の前に、公式をおさらいしておきましょう。三平方の定理とは、わかりやすくいえば直角三角形の3辺の関係を表したもので、「a²+b²=c²」という式で表されます。ここでcは直角の向かい側の辺(斜辺)です。三平方の定理の応用問題で立体を見る際には、ただ公式を覚えるだけでなく、どこに直角三角形が隠れているかを見抜く力が問われます。たとえば、正方形や長方形、または立体の辺の中にも直角三角形の関係が潜んでいるかもしれません。入試問題では「図の中に三平方をどう使うか」が焦点となるため、まずは「直角を探す」ことが第一歩です。


◎【中学数学】三平方の定理の応用問題①:高さを求める


中学数学の三平方の定理の応用問題でよくあるのは、「高さ」を求めるタイプの問題です。たとえば、底辺が10cm、斜辺が26cmの三角形の高さを求めるとしましょう。底辺の半分を5cmとすると、底辺の中央から頂点に引いた線が高さになり、直角三角形ができます。このとき、26²−5²=高さ² なので、高さ=√(676−25)=√651≈25.5cm です。
このように、「高さがわからない=垂線を引く」と考えることで、三平方の定理が使える形になります。問題によっては、平行四辺形や二等辺三角形の高さを求める場面でも同様の考え方が有効です。


◎三平方の定理の応用的な使い方②:対角線や距離を求める


三平方の定理の使い方として次に多いのが「距離を求める」応用問題です。たとえば、縦3m・横4mの長方形の対角線の長さを求める問題では、直角三角形の辺が3と4なので、対角線=√(3²+4²)=5m となります。


また、立体の問題でも三平方の定理は活躍するかもしれません。たとえば立方体の中で、頂点Aと反対側の頂点Bの距離を求めたいとき、まず底面の対角線を三平方で出し(a√2)、次に高さを使ってもう一度三平方を使うと、空間全体の対角線が求められます。このように「2回三平方を使う」問題は入試でも定番で、空間の距離=平面+高さの考え方を押さえておくとスムーズです。


◎三平方の定理の入試でも出る応用と解き方③:傾きや影など実生活に関わる話題


三平方の定理にまつわる入試では、実際の生活に関係する応用もよく出ます。たとえば「建物の高さと影の長さ」や「斜面の長さ」「はしごをかける角度」などです。たとえば、建物の高さが4mで、影の長さが3mのとき、はしごをかける距離(斜辺)はどうなるでしょうか。これは先ほどと同様に√(4²+3²)=5mです 。逆に、斜面の長さや道路の傾きを求める問題では、水平距離と高低差から同様に計算できます。これらの問題は、「図を描く」ことができると混乱しません。現実の場面では直角がどこにあるか分かりづらいため、まずは図を整理し、直角三角形を見つけ出すことが大切です。


◎三平方の定理の応用問題④:円と接線・半径の関係を使う問題


三平方の定理の応用問題では、円と接線・半径の関係を使うパターンもあります。結論から言うと、接点で半径と接線は直角に交わるため、接線・半径・中心を結ぶことで直角三角形ができ、そこに三平方の定理を使うのがコツです。たとえば、円の中心Oから接線ABまでの距離を求める問題では、半径rと点A・Bの座標を使い、OA²=OB²+AB²のように関係を立てることができます。また、円に内接する直角三角形の問題でも、直径を2rとおくことで「a²+b²=(2r)²」という式が成り立ち、半径や辺の長さを求めることが可能です。このように、円の接線と半径の直角関係を見抜けるかを意識してみましょう。


◎三平方の定理を応用するときのコツ


三平方の定理を応用するときのコツとして、応用問題では、単純に公式を当てはめるだけではなく、次の3つを意識しましょう。1つ目は、「直角を見つける」ことです。直角が見えないと三平方の定理は使えません。2つ目は、「どの辺がa,b,cに当たるか」を明確にすることです。位置を間違えると答えがずれます。3つ目は、「途中式を省略しない」ことです。平方根や2乗の扱いでミスが起きやすいため、計算の流れを丁寧に書く習慣をつけると得点につながります。入試や模試では「考え方の記述」が求められることも多いため、式を整理して説明できるようにしておくと良いでしょう。


◎まとめ


今回は、三平方の定理の応用について解説とともにご紹介しました。三平方の定理の応用では、単に「計算力」よりも、「どこに三平方を使うか」を見抜く解き方が重要です。高さ・距離・傾きなど、日常や立体の中に隠れた直角三角形を探す練習を重ねることで、応用問題にも強くなります。また、難しそうに見える問題も、一度図を描いてみれば意外と単純な直角三角形に分解できることが多いものです。繰り返し演習を行い、見えない直角を見つける習慣を身につけましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

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