大学生などで一人暮らしをしていて住民票が実家の場合もあるかもしれません。選挙の度に地元に戻るのも大変ですよね。実際、私の周りの一人暮らしの大学生は、選挙で住民票を移してないために投票を諦めていました(詳細)。しかし、実家から住民票を移さない場合でも選挙の投票に参加できるのです。今回は、住民票が実家の場合に知っておきたい不在者投票制度について、やり方などをご紹介します。
Contents
◎選挙権は住民票のある地域に、移す期限もある?
単身赴任などでの一時的な異動や、大学生で下宿先などで実家から一人暮らしを始めたばかりの場合には、住所変更をしないこともあるかもしれません。引越しの際に住所変更をしない場合は、実家に住民票が残っています。住民票を移動させることで今住んでいる地域での選挙権が生じるのです。手続きの関係で、現在住んでいる場所で投票権を行使するには、公示日の3カ月前までに住民票を移しておく必要があります。そのため、衆議院選挙などの急な解散があった場合には、慌てて住民票を移動させようと手続きをしても間に合いません。そこで利用したいのが、不在者投票制度です。

◎住民票を移してない場合でも選挙に参加できる不在者投票とは[事前投票制度]
選挙における不在者投票とは、遠隔地から郵送投票によって住民票のある選挙区へ投票できる制度です。事前に手続きをして住んでいる場所で投票すると、用紙が地元に郵送されます。つまり、住民票が今住んでいる地域になくても、地元に戻らずに選挙権を行使して投票できるのです。なお、投票用紙が自宅などに送付される郵便投票とは別の制度となっています。不在者投票をどのような流れで行うのかを次の項目でご紹介していきましょう。

◎不在者投票のやり方:遠隔地から前日までに郵送投票
まず、住民票(つまり実家)のある市町村の選挙管理委員会に連絡し、「不在者投票宣誓書兼請求書」を送ってもらいます。最近は、HPからダウンロードできるところも多いです。次に、「不在者投票宣誓書兼請求書」を記入して住民票のある市町村の選挙管理委員会に送りましょう。なお、ご両親などに頼んで住民票のある市町村選挙管理委員会に行って手続きをしてもらうと請求書の送付を省略できますので、一度連絡してみるのもよいかもしれません。

手続きが承認されると、住民票のある市町村選挙管理委員会から投票用紙が届きます。地元の選挙区の立候補者をよく調べた上で、今住んでいる市町村の選挙管理委員会(遠隔地)で投票を行いましょう。ここで投票した用紙は、ご自身の地元の選挙管理委員会へ送付されます。これによって、遠隔地から地元にいるときと同じように投票ができるのです。

不在者投票で気を付けたいこととして、締め切り(必着)が投票日の20時である点が挙げられます。郵送が間に合わなければ無効ですので、遅くとも前日までには投票所に行くようにしましょう。
◎住民票が実家のまま一人暮らしの社会人や下宿中の大学生が投票できない事例も?

不在者投票で最も注意しておく必要があるのは、この制度が全国あらゆる地域で利用できるわけではないことです。たとえば、県庁所在地の中では、青森・松山・高知・長崎・大分・宮崎・鹿児島の7市が、住民票を実家のまま移さず市外に一人暮らしをしている社会人や下宿する大学生の不在者投票を「原則認めない」としています。
不在者投票が断られた理由としては、「そもそも下宿しているなら住民票を移さなければならない。不在者投票制度は長期の出張や旅行によって期日前投票、投票日の投票ができない人を対象にしている」という回答があったとのことです。これは、【学生の場合は住民票を実家に残していても、修学に伴う転居先つまり下宿先が住所になる】と判断した1954年の最高裁判所の判例を根拠にしていると考えられます。
現状、不在者投票ができる自治体・できない自治体の両方が存在し、表面上はできないと言っていても実際は投票できる事例もあり、全国での統一的な見解は出ていません。有権者ができるのは、不在者投票が可能かどうかを住民票がある自治体に連絡することです。認められた場合は、実家から住民票を移動しないとしても次回以降の選挙でも投票できるとわかりますよね。認められない場合には、早めに一人暮らし先に住民票を実家から移しましょう。住民票を移す手続きには、時間がかかることもあります。突然解散して1か月ほどで投票日を迎える衆議院選挙には間に合わないかもしれません。直前になって慌てても同じ事を考える人で混み合う可能性もあるので、早めに動くことがおすすめです。投票したいのにできないはもったいないですからね。
◎不在者投票と期日前投票の違いとは?
不在者投票と期日前投票との言葉を聞いて、違いが気になったかもしれません。不在者投票がその場所にいなくても投票できる制度であるのに対し、期日前投票は住んでいる地域の選挙区に事前に投票できる制度です。「投票日当日には地元には行けないけれども、それまでに帰る用事がある」場合などに不在者投票と合わせて知っておくことで利用しやすい方を選択できます。詳細はこちらの記事で触れていますので、参考にしていただければ幸いです。
◎まとめ
今回は、住民票が実家にある場合に知っておくと便利な不在者投票制度について、やり方などをご紹介しました。住民票を移動しないのであれば、選挙の度に地元に帰る必要がない点で、流れを押さえておくと便利でしょう。地域によっては不在者投票が認められない可能性もありますので、一度手続きをして承認されるかで確かめるのがおすすめです。最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント