外心と重心の違い・三角形の重心の求め方や座標の計算・公式の証明問題も


重心と外心の違いがどのようなものか気になるかもしれません。求め方や作図の問題など中学数学では比較されやすい5つですから、違いをしっかりと押さえておきたいですよね。三角形の中心点は求め方が5つそれぞれで異なり、性質によって証明や問題が変わってくるのが特徴です。今回は、重心と内心の違いや三角形の重心で1/3になぜなるのかなど重心を中心に、三角形の中心点の違いや性質についてご紹介します。

◎重心と外心の違いを例題でやさしく解説


外心と重心の違いがどのようなものか気になるかもしれません。重心と外心の違いは、図形の性質や求め方において大きく異なります。重心は中線の交点で、中線とは各辺の中点(ふたつの頂点のちょうど真ん中)と向かいの頂点を結ぶ線のことです。重心はこの向かいの頂点と中点までの距離が2:1の比になり、求め方など問題として中学数学でもよく出てきます。一方、外心は作図の手順の問題で中学数学で出題されますが、三角形の各辺の垂直二等分線が交わる点であり、その点を中心に三角形の3つの頂点が等しい距離にある円(外接円)を描けるのが特徴です。外心・重心の例題の解説として、紙の上に三角形を描いてそれぞれの線を実際に引いてみると、外心と重心の位置が大きくずれることがわかるでしょう。このように、外心と重心の違いを押さえておくことは、図形問題を解くうえで非常に有利になります。

◎重心の求め方、座標の計算はなぜそのようになる?


重心の求め方は座標の考え方を使うととてもわかりやすくなります。重心の座標の計算は三角形の各頂点のx座標とy座標の平均です。座標の公式は「(x₁+x₂+x₃)/3」「(y₁+y₂+y₃)/3」であり、例として点A(1,2)・点B(4,5)・点C(7,8)の場合、その重心の座標は(4,5)となります。重心の座標の計算がそうなる理由は、先程ご紹介した、重心が三角形の中線の交点であり、中線の比が2:1になるという性質からです。2つの頂点の中点のx座標は「(x₁+x₂)/2」であり、もう一つの頂点と2:1の比になることから、{(x₁+x₂)/2×2+x₃×1}/(2+1)=(x₁+x₂+x₃)/3となり、y座標でも同様に求められます。

◎三角形の重心の公式の証明問題:1/3(2対1)になるのはなぜ?


三角形の重心の公式をなぜそう証明できるのかが気になるかもしれません。重心の証明問題として、ここでは三角形の重心が1/3のところにくるのはなぜなのかを見ていきましょう。三角形の重心が2対1になるのはなぜなのかは、中点連結定理やメネラウスの定理やベクトルなどでも証明できますが、相似の性質を使うとよりシンプルに説明することが可能です。

まず、三角形ABCのAB.ACの中点P.Qと向かいの頂点を結んだ線を引いて、交点をGとします。△ABCと△APQにおいて、∠Aは共通でAB:AP=AC:AQ=2:1です。つまり2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しいことから、△ABCと△APQは相似であり、BCとPQは並行で、BC:PQ=2:1も成り立ちます。

次に、△BCG と △QPG に注目するとBC//PQから∠BCG = ∠QPG(錯角)・∠BGC = ∠QGP(対頂角)より2角相当の相似関係です。そのため相似比が等しくCG:PG=BG:QG=BC:PQ=2:1が成り立ちます。

今度は、三角形ABCのAB.BCの中点P.Rと向かいの頂点を結んだ線を引いて、交点をG”とします。△ABCと△APRにおいて、∠Aは共通でAB:AP=AC:AR=2:1です。つまり2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しいことから、△ABCと△APRは相似であり、BCとPRは並行で、BC:PR=2:1も成り立ちます。

そして、△BCG” と △RPG” に注目するとBC//PRから∠BCG” = ∠RPG”(錯角)・∠BG”C = ∠RG”P(対頂角)より2角相当の相似関係です。そのため相似比が等しくCG”:PG”=BG”:RG”=BC:PR=2:1が成り立ちます。ここで、GとG”はともに直線CP上の点であり、かつCG:PG=CG”:PG”=2:1からGとG”は同一の点です。したがって、三角形の重心は1点で交わり、2対1がなぜ成り立つのかについても示せました。

◎重心と内心の違いとは?


重心と内心の違いは、求め方・位置・役割のすべてにおいて異なります。内心とは、三角形のそれぞれの角の二等分線が交わる点で、内側に収まる円の中心です。求め方の視点では、重心は3本の中線の交点を作図することで求められますが、内心は角の二等分線を使うため、使用する情報も異なります。さらに、重心は文字通り”重さの中心”や平均のような性質を持つのに対し、内心は“最も内側で均等な距離”にある点として、主に接円や角の等分といった対称性に関係するのが特徴です。さらに、重心を使えば三角形を1点でつるすことができ、バランスをとる物理的な意味があります。一方、内心を使えば、三角形の3辺すべてに内接円が接するため、等距離の点を探す問題などで活用できるでしょう。このように、重心と内心は図形の中での意味づけがまったく異なり、それぞれの特徴を理解して使い分けることが重要です。

◎内心・外心・重心・垂心・傍心を一気に整理!三角形の5つの中心とは


内心・外心・重心・垂心・傍心という言葉が並ぶと、どれがどれだったか混乱してしまうもしれません。求め方や作図の問題など中学数学では比較されやすい5つですから、違いをしっかりと押さえておきたいですよね。ここまで、内心は角の二等分線の交点、外心は各辺の垂直二等分線の交点、重心は中線の交点であるとご紹介しました。そして、垂心は高さ(垂線)の交点、そして傍心は内角の二等分線と外角の二等分線の交点で構成されるのが特徴です。たとえば、受験や定期テストではこれらのうちどれか1つを求める問題が出題されやすいですが、全体を整理して覚えておくと理解が飛躍的に深まります。内心・外心・重心・垂心・傍心の関係性を一つの表や図で一覧化して理解すれば、違いが一目瞭然になり、混乱も解消されるでしょう。

◎三角形の中心となる点の求め方は?


三角形の中心となる点の求め方にはどんな違いがあるかが気になるかもしれません。三角形の中心となる5つの点─内心・外心・重心・垂心・傍心ーには、それぞれ異なる意味と使いどころがあります。三角形の中心となる点は作図や証明だけでなく、図形の中でどんな性質を表す点なのかを理解しておくと、問題の意図をつかみやすいです。たとえば、重心は座標の平均であり、内心は三辺から等距離にある点として内接する円や角の二等分線に関わり、外心は三点から等距離にある点として円周角・円との位置関係に関係することをご紹介しました。一方で、垂心は3つの高さの交点であり、垂直・直角といった条件がかかわる問題に登場します。三角形の角度や面積の性質と結びつく、やや構造的な要素を示す中心点です。傍心は、三角形の外に接する“傍接円”の中心で、内角と外角の二等分線で作図される点として出てきます。このように、それぞれの中心が何を基準に作られているか、どんな対称性や距離をもとにしているかを押さえておくことで、適切な視点を選ぶ力が身につくでしょう。

◎まとめ


今回は、三角形の重心や内心・外心など、5つの中心の違いや性質についてご紹介しました。それぞれの中心には、作図方法や位置だけでなく、意味や使い方にも明確な違いがあります。重心は座標や平均、内心は内接円や角の二等分線、外心は円周角・円との位置関係など、図形問題での役割も多彩です。また、垂心や傍心といった中心点も知っておくことで、単なる知識にとどまらず、より図形への理解を深めていきましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

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