就活での囲い込みとはどのようなものなのでしょうか。囲い込みとは、就活をしている人に対して企業が、他社の選考を控えさせて自社に入社させようとする行動です。採用活動には多額の費用や労力がかかるため、企業は内定辞退を避けたいと考えます。また、新卒採用は経営計画に直結するため、人員が不足すると再調整が必要です。さらに、内定承諾後の内定取り消しを学生は理由を問わずできるのに対し、重大な問題がない限り企業側はできません。そのため、内定や内々定のあとは囲い込みによって学生を入社に導こうとするのです。
内定者や就活生は囲い込みにどう対応すれば良いのでしょうか。就活の囲い込みの対処には、就職までのどのような場面で起こるかを押さえておくことが大切です。早期選考をはじめとする囲い込みの事例をいくつかご紹介しましょう。
早期選考による囲い込みは最近の就活ではよく行われている方法です。早期選考はより優秀な人材を獲得し、入社までの関係構築や準備をしやすくなります。万一の辞退の備えとしても、早めの内定は有効でしょう。問題は、内定者に囲い込みで他の企業を受けさせないように仕向けることです。例として、就活の本番時期に研修やイベントを重ねて、他社選考を阻むケースがあります。また、「他の会社に内定した場合には消滅する」などと言われることもあるかもしれません。しかしながら、入社の6月前にあたる10月までは複数社の内定(正確には内々定)を持っていても何の問題もなく、内定承諾後でも就職活動は続けられます。他の企業の内定を受けても、上書き保存のように内定が消滅するわけではありません。気になる企業があれば内定承諾後も就活(就職活動)をすることで、最終的にご自身が一番納得できる1社に絞り込んで入社すれば良いでしょう。
就活の囲い込みはインターンでも起こり得ます。たとえば、週2回参加(勤務)を求められると、学業との両立で他社の選考に手が回らなくなるでしょう。また、競合の選考日程と敢えて被せることで、どちらかにしか参加できない状況を作る場合もあります。就活での囲い込みとして内定前のタイミングだった場合、企業がインターンシップに参加した学生を優先的に希望配属へ採用することを提示する場合もあるかもしれません。「入社前インターンに参加しないと希望の職種に就けない」という不安から参加を決めてしまい、結果的に企業の狙い通りになります。そもそも、就活での入社前のインターンシップは、雇用契約が始まっていないため、参加するかは自由(任意)であり、拘束するのは本来望ましくありません。
就活生がこの囲い込みに乗せられないためにも、日程の調整は可能なのかを質問してみるのをおすすめします。内定者の事情を配慮する企業であれば、期間の変更や場所などを依頼すれば柔軟に対応してもらえるでしょう。特に、募集要項にインターンシップへの参加が明記されていないのに「この日しかありません」と強く言われる場合など、予定の調整が利かないイベントは囲い込みのサインと考えましょう。もちろん、予定を調整する(他の選考などを諦める)のも一つですが、入社後も雇用者側の都合を聞かずに仕事や日程をコントロールする傾向の強い企業かもしれません。時間を費やす価値があるか、自分の意思で慎重に判断しましょう。
就活での囲い込みとして食事に誘われることもあるかもしれません。そもそも、豪華なご馳走をされると好印象を抱きますよね。また、食事は本音が出やすい場でもあり、信頼関係の構築につながることもあります。悩みを親身になって聞いてもらえると安心しますし、入社後のイメージが拡がることでモチベーションも高まるでしょう。
問題は、この食事会が囲い込みを目的に開催されている場合です。内定者に対して食事会やパーティーが頻繁に行われると、就活生側も恩義を感じて内定を辞退しにくい状態になるでしょう。また、頻繁に誘われると、特別扱いされていると感じてしまうかもしれません。食事会に登場する社員は、企業の印象を良くするために選ばれた人材であることが多いです。入社後にそのような社員と働いたり豪華な店に行けたりするかはまた別の話であり、ギャップには注意する必要があります。
社員との食事会が入社後も含めた良好な関係のために行われているのか、単に他の企業への流出や就活生の内定辞退を防ぐ囲い込みのために行われているのかは内定前でも内定後でもいくつかの方法で見極めることがおすすめです。対策としてまず考えられるのは、その会が必須参加かをたずねるということでしょう。先ほどのインターンの例よりももっとわかりやすいですが、強制参加の食事会などありません。何か他の予定に被せようとする囲い込みの意図が見て取れます。
また、食事会以外の機会を利用してその会社の本来の姿を少しでも把握することも有効でしょう。どれだけ優秀な企業でも、様々な社員がいます。実際のオフィスや事務所を見たときの印象が食事会とあまりにも異なる場合、誇張されて見せられているのかもしれません。入社を検討しているなら、社内見学や内定者インターンができるかを尋ねてみましょう。業務そのものを肌で感じることにもなりますし、食事会に出席しているのとはまた違った印象の社員や企業の雰囲気がわかります。