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三角形の合同条件はなぜ3つ?4つ目がない理由を検証[中学数学の証明:合同条件]

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三角形の合同条件を学んだ際には、なぜ3つのみなのだろうと思ったかもしれません。他にも出てこない理由や「間の角」「両端の角」などと限定されている背景を知るとより理解が深まりますよね。今回は、中学数学の証明でよくある合同条件がどうして決まった数に定まっているのかをすべての事例を調べることで見ていきます。

◎合同な三角形とは(中2数学の証明にある合同条件)


合同な三角形とは、移動させたり裏返したり回したりすることで完全に一致する三角形のことです。三角形の合同条件には、「3組の辺がそれぞれ等しい」「2組の辺とその間の角が等しい」「1辺と両端の角がそれぞれ等しい」の三種類があります。三角形を構成するのは3つの角と3つの辺ですから、これらはいずれも辺の長さと角度のうち3組が等しい場合です。そこで、三角形の合同条件で4つ目がないのかを、角度と辺の長さのうち等しいものが何組あるかの場合分けで考えてみましょう。事前準備として知っておきたいものとして「反例」があります。

◎数学の証明での反例とは?合同条件で利用すると…


数学の証明における反例とは、示したい特定の状況で成り立たない例外のことです。数学の条件や定義では全ての場合で成り立つことが求められるため、反例が1つでも見つかると逆に成り立たないことを証明できます。中学数学の証明では合同条件を調べる際にも反例を出していくと簡潔に説明して絞り込むことが可能です。



3辺と3角のうち1組が等しい図形には、「1辺が等しい」と「1つの角度が等しい」の2通りがあります。ただ、この条件だけでは必ず三角形が同じものにならないことはおわかりでしょう。1辺が等しい図形は左側のようにいくつも考えられますし、1角が等しい図形も同様です。



3辺と3角のうち2組が等しい図形は、2辺のみが等しい・1辺と1角が等しい・2角が等しいの3種類に分けられます。いずれも様々なパターンが考えられますよね。

◎三角形の合同条件はなぜ成立するのか?

三角形の合同条件はなぜ成立するのかを、3つの辺の長さと3つの角度のうち3組が等しい場合でみていきましょう。まず、辺が3組とも等しいときは、円を使って考えるとわかりやすいです。3辺のうち、最も長いものが2円の中心間の距離・他の2つが2円の半径になるように点を定めます。すると、2円の交点は多くても2つに定まるのです。また、これらは鏡対称でもあるため、同じものだとみなせます。



次に、2組の辺と1組の角がそれぞれ等しい場合です。等しい角が2組の等しい辺の間にある場合には、等しい角をなす頂点を基準とした辺の反対側の端の位置が同じになるため、残りの辺の描き方が1通りになり、角度も同一に決まります。他方、等しい角が2組の等しい辺の間にない場合には、以下のように様々な図形が考えられるため1通りに定まりません。そのため、「2組の辺と”その間の”角が等しい」となっているのです。



そして、1組の辺と2組の角がそれぞれ等しい場合です。もう1組の角も等しいですから、辺と角度の組み合わせは₃P₃=6通りになります。そこで、「1組の辺とその両端の角が等しい場合」と「1組の辺と2角が等しいがそれが両端ではない場合」で分けてみましょう。前者は、ある辺の長さとその両側の角度が確定しているため、残りの2辺が出ていく方向は同じです。2辺の関係性は、1点で交わる・平行・完全一致のどれかですが平行と完全一致ではないため1点で交わり、残りの1点も自動的に決まります。


一方で、後者は長さが等しい辺で対照移動させると両端の角度のうち片方のみは等しいです。しかし、それでも複数の図形が描けてしまいます。そのため、合同条件では「1組の辺と”その両端の”角が等しい場合」と定められていました。

●三角形の合同条件を高校の余弦定理で考えてみる


三角形の合同条件は高校の余弦定理や正弦定理を使うことでも証明できます。特に、「二組の辺とそのうち長いほうの辺の対角が等しい」は中学の段階では別物のように思えるかもしれませんが、正弦定理を使えば「長い方ではない」辺の対角も等しいことがわかるため、残りの1つの角も等しく「1組の辺と”その両端の”角が等しい場合」に該当することが証明可能です。


◎三角形の合同条件が4つと言われる場合に出てくるものは正しくない?


中2数学の証明での合同条件では以下のようなものを耳にしたことがあるかもしれません。「2組の角とその間にない1組の辺がそれぞれ等しい」というものです。たしかに、「1辺と両端の角がそれぞれ等しい」とは位置関係が違うような気がするでしょう。しかしながら、2組の角が等しい時点で、三角形の内角の和が180度であることとあわせると、もう1組の角度も等しいと自動的に決まります。そのため、先ほど挙げたものは既に合同条件「1辺と両端の角がそれぞれ等しい」で出ているのです。


◎3つの角の大きさが等しい三角形は合同条件にならない?


3つの角の大きさが等しい三角形というのも角度または長さのうち3つが等しい事例として考えられるかもしれません。しかしながら、3つの角の大きさが等しい三角形はいくつも考えられます。片方の三角形の全ての辺を同じ割合だけ拡大または縮小すると角度は同じままにすることができるからです。三角形で3つの角が等しいものは相似の関係とも言います。

◎三角形の合同条件:5つなど4組~6組同じものがあれば同一に決まる理由


三角形の合同条件が5つなど3辺と3角の中で4組~6組同じものがあるときにも成り立つことをみていきましょう。6組が等しい図形が同一なのは明らかでしょう。3辺と3角のうち5組が等しく1組が違う図形は、実は存在しません。異なる1組としては、辺か角の2通りが考えられます。このうち角度が違う場合ですが、三角形の内角の和が180度であるため、2角が同じであれば残りを別にすることはできません。また、2辺と3角が等しい場合、3つの頂点のひとつは角度とその両隣の辺の長さがいずれも等しくなります。「2組の辺とその間の角が等しい」と同じです。


4組が等しい図形には、以下の三つの場合が考えられます。
●1つ目は、3辺とも同じで3つの角度のうち1つが等しい場合です。これは、「3組の辺がそれぞれ等しい」「2組の辺とその間の角が等しい」の条件に含まれます。
●2つ目は、2辺と2つの角度が等しい場合です。2つの角度が等しい時点で残りの1つの角度も等しく、「2組の辺とその間の角が等しい」の条件に含まれます。
●3つ目は、1辺と3つの角度が等しい場合です。単に3つの角度が等しいだけでは拡大版を作れてしまいますが、1辺が同じだと固定されて必ず同じ大きさになります。これは、3組が等しい図形の「1辺と両端の角がそれぞれ等しい」の一部です。

◎まとめ


今回は、三角形の合同条件が本当に3つだけなのかを、考えられるすべての場合で反例を挙げてご紹介しました。等しいものが3組以上になると同一のパターンに収束するのが要因です。言い方が違っても同じ意味ではないかを注意深く見ながら検証していくとわかりやすいでしょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

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