秋は運動会や体育祭シーズンのところも多いかもしれません。京都にある私立学校、洛南高等学校・洛南高等学校附属中学校も毎年9月に体育祭が開催されます。洛南の体育祭は、普段のクラス分けがシャッフルされてコース(パラダイム)も学年の垣根を超えた盛り上がりを見せるのが大きな特徴です。今回は、洛南高校の体育祭についてグラウンドの場所や見どころ、二大イベントである洛南文化祭も含めた2021と2022の情報を一卒業生がご紹介します。
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◎洛南高校の体育祭、洛南小学校の運動会や洛南中学校の体育祭とは別のもの?[rakunan]
洛南高等学校および洛南高等学校附属中学校は、京都の世界遺産である東寺の境内にある学校です。弘法大師空海が設立した日本最古の私立学校である綜芸種智院をルーツに持ち、1881年に創立した総黌が前身、真言宗京都中学・東寺高校などと改称を経て、1962年より現行名になっています。また、1985年より附属中学校が開校しました。元々は男子校でしたが、2006年度より共学となり、変化を続けています。

●近鉄が臨時停車する一大イベント
そんな洛南は、毎年9月下旬に行う大規模な体育祭が特徴です。洛南高校の体育祭は近鉄で京都駅から南下した向島グラウンドで行われ、生徒や保護者のみならず来賓や卒業生など多くの方が訪れます。通常最寄り駅の近鉄向島(むかいじま)駅は急行電車が通過しますが、乗降客数が6倍になると言われるこの日に限り、臨時停車するのです。当日になるとこのように、近鉄京都線では臨時停車を知らせる掲示や放送があります。高校の体育祭で臨時停車があるのは非常に珍しいことかもしれません。

●洛南中学校の体育祭および文化祭について
洛南中学校の体育祭は、高校の体育祭と同一です。普段は同じ校舎でも関わることはほとんどありませんが、同じ団に入った高校生と中学生がお互いの競技や演技で応援したり、学年を超えた競技があったりするなど交流が見られます。特に、洛南高等学校附属中学校に入学した生徒のほとんどはそのまま洛南高校に内部進学するため、中学時代に見ていた応援合戦やデコレーション(後ほど詳しく)をヒントに高校以降に主体となって作り上げていく点でも貴重な機会でしょう。また、洛南中学校の文化祭も合同開催であり、洛南高校の校舎である本館とグラウンドと中学校の教室がある北館の一部を会場にして行われます。
●洛南小学校の運動会について
洛南高等学校附属小学校は2014年に開校しました。こちらは別の場所に校舎があり、基本的には高校とは独立した運営です(開校時以外は中高からの教職員の異動もほぼない)。洛南小学校の運動会は、毎年9月下旬に同校のグラウンドで独自に行われています。9月末~10月初旬の金曜日と土曜日の洛南高校の文化祭や9月下旬の体育祭とは別の日に行われることが多いです(被ると後に内部進学する小学生が見に行けなくなるため)。
◎洛南高校の部活紹介や応援合戦など、洛南体育祭の見どころ
洛南高校・洛南高等学校附属中学校の体育祭には、様々な見せ場があります。競技の部には高校駅伝やインターハイなどの全国大会で上位入賞する選手も参加し、普段は難関大学や医学部を目標に勉学に励む生徒がハンデなしで下剋上を目指す姿は大きく盛り上がりを見せる部分です。その中でも特に注目のものをご紹介しましょう。
●洛南高校・洛南中学のクラスごとに分けられるブロック戦
洛南の体育祭では、高校と中学の各クラスが学年ごとの抽選によって赤・青・黄の3色に分かれます(2017年度までは緑も含めた4色)。進学やスポーツでの活躍など特色の違うコースがありますが、それらが関係なくチーム分けされるのです。6学年が順番に登場する徒競走・クラスの作戦が試される団体競技ももちろんのこと、その際に行われる応援も見逃せません。
特に応援合戦は、各ブロック(団)の高校1~3年生の有志100名以上が参加する、序盤の見せ場です。制限時間は4分間、超過すると失格になる厳しいルールの中で、硬派からポップスまでを織り込み、ダンスや全体の動きの美しさを競います。所属するブロックの色が決まるのは9月初旬の始業式であり、練習期間は20日ほどしかも授業の合間と放課後しかありません。しかし、振付けや動きを考えて、完成度を高めてくる姿には、熱量の高さが伝わるでしょう。なお、昨今の安全性の観点から、ピラミッド・タワー・バスケットトスなどの立体技はできなくなりました(2015年前後)が、小道具や展開などで随所に工夫が見受けられます。(肖像権の観点から、写真は敢えてはっきりしないものを採用しています)

洛南の体育祭では、競技以外にも審査の項目があり、先程ご紹介した応援もその一つです。そして、各色の応援場所の上に設置されているデコレーションパネルも、審査項目として体育祭を大いに盛り上げます。応援団は100人ほどとご紹介しましたが、これとは別にデコレーション部隊も存在し、十数日の限られた時間で作品を仕上げてくるのです。縦4mほど×横16mほどの巨大パネルは、 洛南の体育祭会場の最寄り駅である向島駅の改札を出た時点で見え、どのような絵なのかを楽しみにしながら向かえることでしょう。2013年ごろまでは中学のパネルも含めて5枚がグラウンドの半分を囲むように設置されていました(その後色別のみとなり4枚、3色に変わった2018年度より3枚になっています)。

2019年からは安全面の制限によりできなくなっていますが、以前は足場に上って作業することができました。穴の開いているものや付け替えのできるデコレーションを制作して、応援合戦や競技に合わせて模様替えするなど、状況に応じて変化する仕掛けを楽しめるのも見どころです。
(写真は洛南高校体育祭2018で撮影、赤団はカニのはさみの部分、青団は白馬の羽の部分が立体的に作られ、動くようになっていました。)

●洛南高校体操部の演技と水泳部などの部活紹介、団体演技も
午後の部の最初には、中学高校の体育会系の部活動が登場するクラブ行進があります。ユニフォームを身に着けて登場する部も多く、毎年見ていると変化にも気づくかもしれません。また、その後には、全国大会常連の洛南高校体操部が、普段磨いている床技を中心に披露します。顧問の先生とのやり取りも盛り上がるポイントです。何千人の視線が集まる場での難度の高いパフォーマンスには毎回大きな拍手が起こります。

競技の他にも、中学1年生・中学2年生・高校1年生は学年全員での演技があるのも特徴です。マスゲームと呼ばれるこの演技は、9月以降ほぼ毎日2時間体育の授業を設ける特別編成で練習を重ねます。普段の保健体育が週に3時間ほどであると考えると、熱の入りようがわかるでしょう。
中学1年生は、テンポが比較的に速いポップス系の曲に合わせて踊る『リズム体操』を披露します。過去の楽曲は、AQUA5『TIME TO LOVE』EXILE『銀河鉄道999』NYC『ユメのタネ』いきものがかり『いつだって僕らは』BUMP OF CHIKEN『Ray』嵐『夏疾風』などがありました。

中学2年生は、『ブラック&イエロー』です。代々受け継がれる(筆者が着たものもあるはず)、腹側が黄色・背側が黒色のTシャツを着用します。前後の展開や色の変わり具合を楽しめる演技に注目しましょう。過去の使用楽曲はEXILE『choo choo train』AI『みんながみんな英雄』Little Glee Monster『世界はあなたに笑いかけている』Justin Timberlake 『Can’t Stop Feeling!』などがありました。

高校1年生が披露するのは、『高校マスゲーム』です。演奏は洛南高等学校吹奏楽部が担当し、毎回テーマに沿ったメドレーに合わせて組体操が行われます(ゲーム音楽・ジブリ・歌謡曲・スポーツ漫画・ディズニーメドレーなど)。ここ数年は応援合戦で立体技が制限されているため、これが唯一組体操を見られる機会です。

◎洛南高校の校舎の周辺が会場ではない?洛南高校のグラウンドの場所は?
洛南高校の体育祭の場所は、校舎に隣接するグラウンドではありません。京都駅から徒歩圏内の東寺境内に位置することもあり、長辺が60メートルほどしかないためです。体育祭はこれまで洛南高校の向島グラウンド・亀岡グラウンド・桂川グラウンドで行われたことがあります。どのような場所にあるのかをみてみましょう。
●洛南高校向島グラウンドの場所
洛南高校向島グラウンドは、伏見区の周囲が田畑で囲まれた非常にのどかな場所にあります。元々は、同じ系列だった隣接する種智院大学の管轄でした。洛南学園として分離する際に洛南側が買い取って今に至ります。普段は洛南高校の硬式野球部が練習場所として利用していますが、体育祭当日は特別に整備されるのです。収穫前の稲穂と晴れ渡る少し涼しい青空と熱気に包まれるグラウンドのコントラストもお楽しみいただけるでしょう。
〒612-8156 京都府京都市伏見区向島西定請

●洛南高校亀岡グラウンド:かつての体育祭会場
洛南高校亀岡グラウンドは、向島グラウンドができる前に、体育祭で使用していた場所です。地図を検索していただくとおわかりかと思いますが、京都縦貫道沿いの山の中にあります。京都市内からは約1時間、電車でアクセスするのは大変かもしれません。当時は、京都市内から生徒・保護者などを乗せたバス40台を走らせて現地に向かった、という逸話も残っています。ちなみに、私は中学生のときに2回、スポーツ大会でこの場所にクラスで出かけました。
京都府亀岡市下矢田町茶臼山地内
こちらの池のすぐ西にある、池と京都縦貫自動車道に挟まれた用地です。
●洛南高校桂川グラウンド:一度のみ開催
洛南高校桂川グラウンドは、2011年の体育祭で使用された場所です。JR桂川駅から徒歩数分のこの場所は現在洛南高等学校附属小学校の校舎ならびにグラウンドとして使用されています。用地を取得したばかりで、こけら落としの意味合いもあって開催されました。
開催予定日の前日に大雨となり、水はけに課題があったことから延期が決定、スポーツクラスの方の奮闘があって水抜きに成功し、1日遅れで開催に至った経緯があります。なお、用地の一部にその後小学校が建築されたため、洛南高校の体育祭としては、この回が唯一の開催です。
〒617-0002 京都府向日市寺戸町寺田54

◎体育祭は中止、洛南文化祭は2021も無観客で開催へ、2022はどうなる?
毎年9月23日前後に開催される洛南高校・洛南高等学校附属中学校の体育祭ですが、2020年は感染症の影響で早々に中止が決まってしまいました。2021年は当初は開催の方向で記載がありましたが、最終的に中止になっています。一方で、洛南の文化祭は2021も2020年と同様に校内生のみで実施されており、2年連続で一般公開はありませんでした。
●洛南高校の体育祭と文化祭の2022の開催日程
洛南高校の体育祭は2022年9月23日(金/祝日)が予定されています。会場は例年通り向島グラウンドです。洛南高校の行事予定では、現在のところ2021年のように「中止の判断は…」と言った文言はなく、校内生のみとの記載もないため、3年ぶりに通常通り実施されるかもしれません。また、洛南高校の文化祭は2022年9月30日(金)と10月1日(土)で予定されています。→その後9月1日までに情報の更新があり、体育祭は校内生限定で行われることになりました。残念ですが、2022年の体育祭も一般の参加観覧はできません。→さらに9月4日時点で、洛南文化祭の一般公開の中止も発表されました。普段なら模擬店・喫茶・食堂があり、屋内ではすれ違うのが大変な場所があるほど混雑することを考えると、一般公開を行うのはまだまだ難しいのかもしれません。→9月22日に体育祭が9月24日に延期になったという発表がありました。

◎まとめ
今回は、洛南高等学校の体育祭がどのようなものなのか、見どころや日時場所などをご紹介しました。保護者の方も含めると、3000人以上が集まり盛り上がります。また、応援合戦・デコレーション・マスゲームなど、見どころが多いのも特徴です。再びこの盛り上がりが見られることを期待しましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。
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