自分の強みや価値観を言語化しようとしても、「何を掘り下げればいいかわからない」「考えても浅く感じる」と悩むことが多いかもしれません。就職活動では、自己分析のエピソードをどこまで深掘りできるかで結果に大きく影響するため、答え方もしっかりと押さえておくのが重要です。120社ほどと接触した筆者も、面接や会話の中で詰まって気まずい思いをすることがあり、準備の重要性を痛感しました。今回は、実際の質問例や回答例を交えながら、自己分析を一段深く整理する方法を具体的にご紹介します。

◎自己分析の「深掘り」とは何か
自己分析の深掘りとは、単に経験を並べるのではなく、その裏にある思考・感情・価値観まで明確に言語化することを指します。たとえば「私はリーダー経験があります」というのは表面的な表現に過ぎません。そこから「なぜその行動を取ったのか」「その結果、何を感じ、何を学んだのか」を掘り下げることで初めて自分らしさが見えてきます。同じ題材でも表現の深さによって印象は大きく変わるという例を見てみましょう。

前者が「何をしたか」だけを語っているのに対し、後者は「どのように考え、どう行動したか」「その経験から何を得たか」を明確に示しています。深掘りとは、まさにこの違いを生み出す作業なのです。
◎自己分析の深掘りにおける質問はどんなものがある?面白いものも
深掘りの基本的な考え方が理解できても、「そもそもどんな質問が出るの?」かがわからないと手が止まるかもしれません。自己分析の深掘りにおける質問はどんなものがあるのでしょうか。最もシンプルなものは「学生時代に最も力を入れたことは何ですか?」です。その回答に対して以下の内容が聞かれると想定しておきましょう。
🔴それをやろうと思った理由は?
🔴どんな困難があり、どう乗り越えましたか?
🔴その経験から何を学びましたか?
🔴周囲の人はあなたをどんな人だと言いますか?
🔴どんなときに一番やりがいを感じますか?
🔴今後どんな環境で力を発揮できると思いますか?
これらはいずれも「あなたの価値観」や「行動の理由」を知るための質問です。一方で、企業によっては自己分析の質問を面白い切り口できいてくる場合もあります。
🔵あなたをチームの中でたとえるなら、どんな役割の人ですか?
🔵その経験の中で、自分らしいと思った行動は何ですか?
🔵もし失敗が保証されるとしたら、どんなことに挑戦したいですか?
🔵その中であなたが尊敬する人を1人挙げるとしたら誰?なぜその人なのですか?

一見すると関係なさそうですが、すべて自分が何を大事にして行動しているかを探るためのものです。質問に答えるコツは、正解を探そう自分の価値観が含まれているエピソードで答えることが挙げられます。どのように考えるのか良いのか、次の項目でみていきましょう。
◎自己分析のエピソードは何が良い?深掘りをするには…
自己分析のエピソードで深掘りがしやすいものが何かが気になるかもしれません。「深掘り」と聞くと、大きな実績や華やかな成果を思い浮かべがちですが、実は日常的な経験こそが自己理解の材料になります。アルバイトでのトラブル対応、部活動での意見対立、ゼミ発表の準備など、一見ささいな経験でも「自分がどんな価値観に基づいて動いたか」を見つけやすいからです。たとえば、バイトでミスが多かった新人をサポートした経験を思い出してみましょう。そのとき「なぜ助けたいと思ったのか」「どんな工夫をしたのか」「どんな学びがあったのか」を掘り下げると、そこには周囲の成長を支える姿勢や根気強いフォロー力といった強みが隠れています。特別な経験でなくても、自分が主体的に考え、判断や工夫をした瞬間を思い出すことが、深掘りのスタートラインです。

◎自己分析の深掘りのやり方:「なぜなぜ?」の繰り返し
自己分析の深掘りのやり方で最も基本的な手法が、「なぜなぜ?」を繰り返すことです。自分の行動や選択の理由を三段階ほど深掘っていくと、価値観の根本にたどり着けます。
① 経験:○○をした
↓
② 行動:なぜその行動を取ったか
↓
③ 感情:どんな気持ちが動いたか
↓
④ 学び:そこから得たことは何か
↓
⑤ 強み:それが示す自分の強みは何か
↓
⑥ 志向:どんな環境でそれを活かせそうか
たとえば「チームをまとめた」という経験があったとしましょう。なぜそうしたのかと考えると、「バラバラでは成果が出ないと思った」という答えが出るかもしれません。さらに「なぜ成果を出すことにこだわったのか」と問えば、「全員で目標を達成する経験がしたかった」という気持ちが出てくるのです。そしてもう一段、「なぜ全員で達成したいのか」と掘り下げると、「協力して結果を出すことにやりがいを感じる」という本質的な価値観や志向に行き着きます。このようになぜなぜ分析で行動の理由をたどることで、自己分析として単なる出来事が自分の大切にする考え方として整理されるのです。
◎自己分析の深掘りの仕方:強みと価値観の言語化
就活をする中で悩むのが、「価値観」や「強み」をうまく言葉にできないことです。そんなときは、まず方向性を分類してみましょう。たとえば、調整力・課題解決力・継続力・創造性など、自分の行動に最も近いキーワードを選びます。そして「その強みをどう発揮したか」を1エピソードで説明できれば、すでに十分な自己PRの核ができるのです。また、価値観を整理したい場合は、「何をしているときにやりがいを感じるか」を思い出すのが効果的でしょう。挑戦・協働・貢献・安定など、よくある軸を参考に、自分の感情が最も動いた瞬間を具体的に書き出すと、自然と方向性が見えてきます。「難しいことに挑むと燃える」「誰かの役に立つと嬉しい」といった感情は、企業との相性を考えるうえで非常に重要なヒントになるかもしれません。
●就活の自己分析での深掘りの完成例
ここで、深掘りされた自己PRの完成例を見てみましょう。テーマは「ゼミでのリーダー経験」です。
[私はゼミでリーダーを務め、方向性の違いで対立していたメンバーの意見を整理し、全員が納得できる形にまとめました。困難な中でも諦めず、全員の意見を尊重して再スタートできた経験から、「粘り強く調整しチームを前に進める力」を身につけました。この力を活かし、貴社のように多様な人と協力して成果を出す仕事に挑戦したいと考えています。]
このように、強み→エピソード→価値観→志望動機という流れで構成すると、一貫性のあるストーリーになります。面接でも「自己PR」「学生時代頑張ったこと」「志望動機」を自然につなげて話せるため、説得力が格段に上がります。
◎よくある失敗と見直しポイント:他己分析の質問リストも
多くの学生がつまずくのは、深掘りをしているつもりで「結果だけ」を話してしまうケースです。たとえば「イベントで〇〇人を集客しました」という成果を強調するだけでは、なぜその行動を取ったのか、どう感じたのかが伝わりません。また、「楽しかった」「嬉しかった」で感情が止まるのも浅い分析の典型です。感情の奥にある理由まで踏み込むことで、分析は一気に深まります。

もし自己分析が行き詰まったときは、他人に自分の話をしてみるのも効果的です。第三者から「それってどういうこと?」「なぜそう思ったの?」と質問を受けることで、自分では気づかなかった視点を発見できることがあります。自分一人で考え続けるよりも、人との対話を通じて整理していく方が深掘りが進むことも少なくありません。他己分析の質問リストとしておすすめは以下のものです。

◎就活における自己分析:目的別に深掘りの方向性を変える
自己分析の深掘りの仕方として押さえておきたいこととして、目的によって掘り下げ方の重点も変わるという点があります。自分の強みを知りたいときは、過去の成功体験を中心に整理し、何が得意かを明確にしましょう。適職を考えたい場合は、どんなときに力を発揮できたか、逆にどんな環境ではストレスを感じたかを分析するのが効果的です。そして志望動機に活かしたいときは、行動や価値観の背景を企業理念や仕事内容に重ねることで、「なぜその会社で働きたいのか」を自然に導けます。つまり、自己分析の深掘りとは一度きりの作業ではなく、目的に応じて焦点を変えながら何度も磨いていくプロセスなのです。
◎まとめ
今回は、就活の自己分析において、どのように深堀りをするのが良いのかについてご紹介しました。単なる経験の振り返りではなく、自分がどう考え、どう感じ、なぜその行動を選んだのかを明らかにする作業です。なぜなぜ分析を重ねることで、自己分析を通して価値観が浮かび上がり、面接でも自信を持って語れるようになります。ポイントは、経験の意味づけと企業との接続です。どんな小さな経験でも、自分なりの考えや学びを整理できれば、それは立派な自己分析になります。焦らず丁寧に掘り下げ、自分の言葉で語れるストーリーを形にしていきましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。
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