アルバイトでも有給休暇はあるのかが気になるかもしれません。有給の日数はアルバイトでも同じなのか、法律で条件があるのかも知っておきたいですよね。当方の会社でも「アルバイトから有給の申請で相談が来てるのだけれど…」というやり取りを聞き、アルバイトの有給休暇については正社員とは異なる特徴があることに気付くきっかけになりました。今回は、アルバイトの年次有給休暇に関して、付与される条件や計算方法と、アルバイトならではの違いについてご紹介します。
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◎アルバイトでも有給休暇はあるのか
そもそも「アルバイトに有給はあるの」かを見ていきましょう。結論から申し上げますと、アルバイトにも有給休暇が付与される場合があります。有給休暇は『年次有給休暇』『有休』『年休』『有給』などと同じ意味です。年休とはその年次の特定の労働日に仕事を休んでもその日の給与が支払われる仕組みを指し、アルバイトのようにフルタイムでなくても該当する場合があります。また、アルバイトから正社員になると有給の付与の基準が変わるのも特徴です。
「~場合がある」と濁したような表現なのにお気づきかもしれません。有給休暇の付与があるかはアルバイトでの働き方によって変わってきます。その条件がどのようなものかを次の項目で見ていきましょう。
◎アルバイトの有給が発生する条件とは、アルバイトの年次有給休暇に関する基準
アルバイトに有給休暇はあるかがわかったところで、どのような条件が設けられているのかが気になるかもしれません。アルバイトなどの休暇について定めているのは労働基準法という法律です。労働基準法では勤務が一定条件を満たしている場合にはアルバイトでも有給を付与することを義務化しています。
有給をアルバイトに付与する条件として法律で定められているのは、まず雇用が始まってから半年が経過していることです。また、所定労働日数の8割以上で出勤していることも条件として挙げられます。この所定労働日に関しては後の項目で触れますので、労働基準法で有給休暇がアルバイトに付与されるのには前提条件が2つあると認識しておけば良いでしょう。(入社時点で前倒して付与された場合はこの限りではありません)
さらに、有給が発生する条件はアルバイトも含めて、週の所定労働時間が30時間以上または週5日以上または年間の労働日が217日以上であることが挙げられます。ただ、この水準は週5日働いても1日あたり6時間以上となるため、週に2.3日だけのシフトなら厳しいかもしれません。そこで、アルバイトの有給休暇の条件でもう一つ設けられているのが、労働日数が何日なのかという点です。週の所定労働日数が1日以上または1年間の所定労働日数が48日以上の場合には、週の所定労働時間が30時間未満であってもアルバイトしている日数に比例して有休が付与されます。
●アルバイトで有給がない・くれない場合でも違反にならないことがある?
アルバイトの方の中には有給がないという方もいらっしゃるかもしれません。「アルバイト先が有給をくれない、これは法律に違反しているのでは?」と思ってしまうものですが、所定労働日数が48日未満の場合は付与する日数が明記されていないのです。そのため、アルバイトをしていて全く有給がない場合は、バイト先の問題(労働基準法の違反)なのか、単に日数や時間の条件を満たしていないのか、を見極める必要があります。そこでポイントとなるアルバイトの所定労働日数とはどのようなものかについて、次の項目で見ていきましょう。
◎アルバイトの有給休暇の計算方法、アルバイトにおける所定労働日数とは?
有給休暇の計算をアルバイトの場合で行う際には、所定労働日数とはどのようなものなのかを押さえておく必要があります。所定労働日数とは、就業規則やアルバイトでの労働契約に定められている労働の日数のことです。年間所定労働日数は[365日-年間休日(所定休日日数)]または明記されている数値となります。
月間所定労働日数とはこの年間の所定労働日数を12で割った数字であり、週所定労働日数は年間を52で割ることで計算可能です。逆に、「週●回働いている」というのであれば、それを52倍したものが年間の所定労働日数に近い数字になるでしょう。有給が付与される条件ではない所定労働日数が48日未満は週当たりでは1日未満ということになり、逆に言えばおおよそ週1回以上のシフトでアルバイトをしているなら有給を取得できるわけです。
◎アルバイトの有給休暇(有休)の日数などは法律でどう定められている?
有給休暇の日数はアルバイトではどのようになるのか、詳細を見ていきましょう。まず、先ほど条件として挙げた、週の所定労働時間が30時間以上または週5日以上または年間の労働日が217日以上の従業員は、初回は10日・2回目は11日・3回目は12日…と勤務年数に応じて徐々に有給休暇が増え、7回目以降は20日ずつで固定されます。有給休暇は最大で2年間のどこかで利用できると法律で定められていてアルバイトでも同様です。年度は1年の繰り越しで永久不滅ではない点には注意しましょう。

●アルバイトを週3でしていると有給は何日になるのか?
週の所定労働時間が30時間未満で週4日未満のシフトである場合は、年間所定労働日数
に応じて有給休暇の日数が変わるのが特徴です。年間の労働日が169~216日・121~168日・73~120日・48~72日の4段階があり、初年度はそれぞれ7日・5日・3日・1日となります。アルバイトを週3でしていると有給は5日⇒6日⇒6日⇒8日⇒9日⇒10日⇒11日と増えていくと思っておくと良いでしょう。なお、先ほども触れたように、所定労働日数が48日未満の場合は有給休暇が付与されません。

●アルバイトが有給を時間単位で取得するのは可能なのか?
アルバイトが有給を時間単位で取得できるのかも気になるポイントでしょう。かつては1日または半日単位で取得することになっていた有給休暇は、2010年4月から時間単位でも取得できるようになりました。ただし、義務化ではなく各企業の方針にゆだねられており、労使で協定を結んでいる必要があります。アルバイトを対象に含めない時間単位の休暇取得の労使協定を締結している場合もあるため、有給を時間単位で取ることを検討しているのであれば予め確かめておきましょう。
●アルバイトで有給5日未満の場合などに消化義務はあるのか
所定労働時間が週30時間以上または週5日以上働いている場合にはフルタイムと同様とみなされて初年度は10日の有給休暇が付与されます。また、2019年(中小企業は2020年から)の法律の改正により、5日以上の取得を義務付けられるようになりました。そこで、アルバイトでも有給の消化の義務があるのかは気になるかもしれません。ここで定められているのは「年に10日以上の有給休暇を取得できる従業員は最低で5日は取らせないといけない」というものです。もちろんアルバイトでも該当すれば義務ということですが、それ以外は法律には書かれていません。アルバイトで有給5日に満たない場合などは取得できる権利はあるものの、必ずしも使う必要はない点も押さえておくと良いでしょう。
◎アルバイトで有給を取ったときにもらえる金額の計算は?
働くだけ増える時間給のイメージが強いアルバイトの場合は休暇を取得すると給料がどう変わってくるのかが気になるかもしれません。アルバイトで有給を取ったときにもらえる金額の計算は、基本的に通常の時給から計算することが可能です。たとえば、土曜日に時給1000円のバイトを5時間していてその日に有給休暇を取得した場合は、賃金は1000×5=5000円加算されます。シフトが固定されていない場合には、標準報酬日額や過去の実績から比例計算して求める場合もありますので、どのような基準なのかは事前に勤め先から聞く・規定を調べるなどしておくと良いかもしれません。
●アルバイトで退職/辞める時に有給はどうなるのか?
アルバイトを辞める時に有給はどうなるのかも気になるかもしれません。アルバイトを退職する場合は、一般的な従業員と同様に有給は消滅します。次の勤め先に引き継がれることはありませんので、もったいないと思う場合は辞める前に消化してしまいましょう。[詳細]

◎まとめ
今回は、アルバイトの有給休暇について法律での条件や計算方法などをご紹介しました。アルバイトの年次有給休暇は勤務日数や週あたりの勤務時間で分類されており、4段階で日数が定められています。フルタイムとは違って取得義務がないために話題に出ないこともありますから、取得を検討する場合には前もって何日分あるのかを問い合わせておくのがおすすめです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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