衆議院議員選挙や参議院議員選挙では、投票率もしばしば注目されますよね。年代別ではどの程度の差があるのかも気になるかもしれません。若者の政治への関心が低いとは言われますが、実際のところどのような数字なのでしょうか。今回は、国政選挙(衆院選・参院選)の投票率の推移と、年代別・世代別の投票率についてご紹介します。
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◎国政選挙(衆議院選挙・参議院議員選挙)の投票率の推移【公民】
国政選挙は現在、18歳以上の男女に選挙権(投票する権利)があります。20歳から引き下げられたのは2016年6月からですが、それまでの投票に参加できる対象者は、戦後から同じ状態が長く続いていました。そこで、まずは戦後以降の全体の投票率(投票総数÷有権者の数)の推移を見てみましょう。なお、ここでは衆議院選挙・参議院議員選挙のうち通常選挙(解散あるいは任期満了に伴い全国一斉に行ったもの)のみ記載し、欠員が出た場合にする補欠選挙は除いています。
●衆院選の投票率の推移、衆議院議員総選挙2017・2021は?
衆議院議員総選挙の投票率の推移は以下の通りです。衆議院が任期満了まで続いたのは過去1回しかなく、解散が常々行われているために頻度に差があります。
1946年:72.08%
1947年:67.95%
1949年:74.04%
1952年:76.43%
1953年:74.22%
1955年:75.84%
1958年:76.99%
1960年:73.51%
1963年:71.14%
1967年:73.99%
1969年:68.51%
1972年:71.76%
1976年:73.45%
1979年:68.01%
1980年:74.57%
1983年:67.94%
1986年:71.40%
1990年:73.31%
1993年:67.26%
1996年:59.65%
2000年:62.49%
2003年:59.86%
2005年:67.51%
2009年:69.28%
2012年:59.32%
2014年:52.66%
2017年:53.68%
2021年:55.93%
下の折れ線グラフをご覧いただいてもお判りかもしれませんが、衆議院議員選挙の投票率は徐々に右肩下がりです。1946年に戦後初の衆院選が行われ、55年体制の終わった1993年までは投票率が67%~77%を推移していました。しかし、その後この水準に達したのは2005年の郵政解散と2009年の政権交代のときのみです。直近2回、2014年と2017年の衆議院議員選挙は歴代最低の1.2位であり、低迷していることが数字として明らかに出ています。2021年の衆議院議員選挙の投票率は55.93%と戦後3番目に低いものの、過去2回からは上昇しました。

●参院選の投票率の推移、2022年・2019年の参議院選挙は?
参議院議員通常選挙の投票率の推移は以下の通りです。参議院は解散がなく、3年ごとに半数が改選となるため、開催年度に規則性があります。
1947年:61.12%
1950年:72.19%
1953年:61.18%
1956年:62.11%
1959年:58.75%
1962年:68.22%
1965年:67.02%
1968年:68.94%
1971年:59.24%
1974年:73.20%
1977年:68.49%
1980年:74.54% (衆参同日選挙)
1983年:57.00%
1986年:71.36% (衆参同日選挙)
1989年:65.02%
1992年:50.72%
1995年:44.52%
1998年:58.84%
2001年:56.44%
2004年:56.57%
2007年:58.64%
2010年:57.92%
2013年:52.61%
2016年:54.70%
2019年:48.80%
2022年:52.05%
全体的に衆議院議員選挙よりも投票率が低い傾向です。参議院議員選挙のタイミングで衆議院を解散して衆参同日選挙をしたことが1980・1986年の2回あり、いずれも70%以上の比較的高い投票率を記録しました。しかしこちらも90年代に入ると低迷し、1995年には初めて過半数割れ、つまり有権者の半分以上が投票していません。最近十数年は50%台を推移していましたが、参議院選挙2019では48.80%と史上2番目に低い数字を記録しています。直近の2022年は52.05%と5割を回復しました。

◎衆議院選挙・参議院選挙の投票率を年代別に分類、直近の2021年は?
ここまで国政選挙における全体の投票率を見てきましたが、年代別の投票率が気になるかもしれません。世代別の投票率を比較することで、どの年代がよく投票するのかを知る指標にできます。衆議院は1967年以降、参議院は1989年以降の、年代別の投票率(投票総数÷有権者の数)の推移をみてみましょう。なお、選挙権(投票できる権利)が18歳以上に引き下げられたのは2016年6月からで、10代の投票率が出ているのは2017・2021年の衆議院議員選挙と2016・2019年の参議院議員選挙のみです。
●詳細の公表は年齢別ではなく世代別?年代別の投票率について
選挙の際には、誰が来たかを投票前にチェックします。これは同じ人が複数回投票することを阻止するためです。そこで、年代別の投票数も調べられるのです。年齢まで特定できますが、一覧表にすると精密すぎるため、基本的には10歳ごとに分けて世代別の投票率は公表されています。年代は、20・30・40・50・60・70歳代以上に分けられ、2016年以降はここに10代(18歳19歳)が加わりました。
●衆議院選挙の投票率を世代別に、若者の選挙での投票率は?
衆院選の年代別の投票率を見ると、徐々に世代別で差が出てきているのがわかります。1967年に一番低い投票率だったのは実は70代以上でしたが、その後は6割台~7割前後で推移しています。一方で、若者の投票率が下がり、とりわけ20代は1990年代以降に4割を切ることが多くなりました。全体の投票率が高い2005年と2009年の衆議院選挙では20代の投票率が5割近くに戻っており、全体の投票率を押し上げる点でも影響が大きいことがうかがえます。2017年は33.85%で、これは歴代で2番目に低い投票率です。

●参議院選挙の年代別の投票率、18歳以上への引き下げ後の選挙権の行使は?
衆議院と比べると、参議院選挙の方が年代別の差が大きいことがわかります。突出して低いのはやはり20代であり、統計の見つかった1989年以降はいずれも過半数割れです。2019年の参議院選挙では30代も4割未満となり、投票に行かないことが習慣化された若者がそのまま歳を重ねていることがうかがえます。また、他の世代も緩やかに減ってきている点は気がかりでしょう。
10代に関しては、18歳以上に選挙権が引き下げられた直後の2016年は話題性もあり比較的に高い数字が出ていますが、その後2019年はやはり20代と同じ程度にまで落ち込んでおり、若者の政治への関心が低いと言われても致し方がありません。(2022年参議院選挙の年代別の投票率は、後々に更新します)

◎まとめ+若者が選挙に行かない理由とは?
今回は、国政選挙(衆院選・参院選)の投票率の推移と、年代別・世代別の投票率についてご紹介しました。衆議院議員選挙および参議院議員選挙の投票率は減少傾向にあり、特に若者の投票率の低さが目立ちます。そこで、どのような理由で投票に行かないのかを調査しました。次回は、大学生の投票行動や選挙に行かない理由についても考察していきますので、参考にしていただければ幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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