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センター試験や大学入学共通テストでの得点調整の仕組み、分位点差縮小法の計算とは

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センター試験や大学入学共通テストでは、得点調整のことが気になるかもしれません。通常試験日から1週間以内に発表がありますが、どのような基準で何の科目に対して行われるものなのかを知っておきたいですよね。今回は、センター試験や大学入学共通テストでの得点調整の仕組みや過去の事例をご紹介します。

◎大学入学共通テストやセンター試験での得点調整が起こる仕組み、対象科目と基準


共通一次試験の位置付けである大学入試センター試験(2021年度からは『大学入学共通テスト』の名称)では、得点調整と呼ばれる操作が行われることがあります。得点調整とは、採点後に大学入試センター側で特定の科目の平均点を引き上げる措置のことです。特定の科目で有意の難易度の差が見受けられる際に、受験生が選択した科目の組み合わせで試験の結果に不公平が生じないことを目的としています。試験後のどのような科目が対象となるのか、一般的に得点調整が想定される基準が何なのかをみていきましょう。

●大学入学共通テストやセンター試験での得点調整が起こる科目は?


得点調整が起こりうる科目は、理科または社会です。この2教科には様々な科目が存在し、受験者が選択するパターンがいくつも考えられます。その分、難易度の差によって公平性の担保が難しいかもしれません。そこで、特定の科目の中で明らかな差があるかを調べていきます。


理科の中での得点調整の対象科目は、主に理系の方が受験する理科②『物理』『化学』『生物』『地学』です。文系の方が受験することの多い理科基礎科目『物理基礎』『化学基礎』『生物基礎』『地学基礎』は得点調整は行われません。なお、旧課程でのセンター試験では、『物理Ⅰ』『化学Ⅰ』『生物Ⅰ』『地学Ⅰ』などが対象になっていたこともありました。


社会には地歴公民がありますが、地理歴史と公民でさらに分けられています。得点調整の対象科目は『地理B』『日本史B』『世界史B』の間、または『現代社会』『倫理』『政治・経済』の間です。同じ公民科目である『倫理政経』は含まれていません。

●大学入学共通テストやセンター試験での得点調整が起こるとされる基準は?


大学入学共通テストやセンター試験での得点調整を行う基準は、科目間の平均点に20点以上の差がある場合です。たとえば、理科②『物理』『化学』『生物』『地学』の平均点をそれぞれ出して引き算をしたときにいずれも20以上にならないかを調べていきます。ただし、受験者が10000人以上の科目限定です。そのため、受験者が比較的に少ない、『地学』『倫理』などは得点調整の対象科目にならない可能性も考えられます。

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◎センター試験で得点調整はどのように計算しているのか?


得点調整にあたっては、平均点の差が15点ほど(通常起こり得るとみなしている範囲)に縮める処理が行われます。用いられているのは『分位点差縮小法』と呼ばれる方法で、0点と100点は固定し、間の点数を上へと動かしていくものです。具体的には、変更後の科目Aの平均点=〈科目Aの平均点+(対象科目の中での最高の平均点ー科目Aの平均点)×{1-15÷(対象科目の中での最高の平均点ー対象科目の中で最低の平均点)}〉で算出されます。


たとえば、平均点がそれぞれ『現代社会』=60点・『倫理』=50点・『政治・経済』=70点だったとしましょう。その場合、対象科目の中での最高の平均点=70・対象科目の中で最低の平均点=50です。つまり、変更後の『現代社会』の平均点=60+(70-60)×{1-15÷(70ー50)}=62.5点・変更後の『倫理』の平均点=50+(70-50)×{1-15÷(70ー50)}=55点ほどになるように調整します。

◎センター試験で得点調整があった過去の事例、2019と2020は平均点に拡がりなく


『センター試験』での得点調整は、過去に2回行われました。1回目は、1998年のセンター試験です。このときには日本史B(56.33)と地理B(77.23)の平均点の差が20.90点に達しています。そこで、平均点が世界史B:61.03⇒65.50・日本史B:56.33⇒62.18になるように、受験者それぞれの得点にも変更が行われました。


2回目は、2015年のセンター試験です。この年は教育課程に変更があった最初の年で、移行措置として旧課程と新課程の2種類の試験が行われていました。高校を卒業済みの既卒生が主に受験するのが旧課程で、2015年度に高校3年生だった方が受験したのが新課程でのセンター試験です。平均点では、新課程の生物(48.39)と旧課程の物理Ⅰ(69.93)の差が20点を超えました。そこで、旧課程の物理Ⅰ以外の科目が得点調整の対象となり、個々の受験者の得点も引き上げられたわけです。新課程物理:61.64⇒64.29・化学:59.20⇒62.49・生物:48.39⇒54.98・物理Ⅰはそのまま・旧課程化学Ⅰ:65.13⇒66.67・生物Ⅰ:56.96⇒60.88と変わっています。(ちなみに、当方は生物Ⅰと化学Ⅰを受験しており、多少得点が上昇しました)。


2019年・2020年などの直近のセンター試験では、得点調整は実施されていません。実際に平均点を見比べるとわかりますが、理科・社会ともに科目間で20点以上は開いておらず、有意な差はないと判断されています。

参考:2020年センター試験、過去10年との平均点の比較

◎共通テストでの事例はこちら

◎まとめ


今回は、センター試験や大学入学共通テストでの得点調整の仕組みや過去の事例をご紹介しました。理科・社会の特定科目間で平均点に20点以上の差が出た際に15点差ほどに調整するために行われます。難しい場合には、平均点が低い場合に多少点数が上がるイメージを持っておくと良いでしょう。最後までお読みいただきありがとうございました。


2023年共通テストの解答一覧



参考:2020年センター試験の解答一覧
英語で得点が複数の項目にまたがっている場合には、全ての数字が一致して得点が入ります。また、国語の⑲⑳など順不同のものに関しては、逆に記載していても問題ありません。なお、世界史Bでは5⃣の問題が、文章の表現が誤解を招くと判断があり全員正解になっています。


参考:2021年以降の大学入学共通テストについて

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